研究概要 |
1.糖鎖物質を微小ビーズに固定化する方法の検討:ムチン型及びアスパラギン結合型の糖ペプチドを各種架橋剤を用いて,「ホ-ネンミクロフィア(-NH_2)」と「ポリビ-ド(-COOHと-NH_2)」に効率よく結合させる手法を検討した結果,NH_2基をCOOH基に変えた後に,カルボジイミドによってカップリングさせる方法が一般的に良いことが解った. 2.固定化糖鎖の免疫学的検出:上記の方法で得られたビーズ(以下担糖ビーズと呼ぶ)と各種レクチンとの凝集反応の最適化を検討したところ、用いるレクチンもビーズに結合させることによって,安定な保存・仕様時における希釈の省略・反応系の微量化の目的を果たすことができた. 3.担糖ビーズの反応性の検討:どのレクチンに対しても,ムチン型糖鎖(例えば血液型物質)はアスパラギン結合型糖鎖(例えばトランスフェリン)よりも高い反応性を示した.糖鎖がクラスターになっているためと推定している.担糖ビーズを各種グリコシダーゼで遂次消化すると,除去された糖に対応したレクチンとの反応性が消失または減少した.このことから,レクチンの結合特異性を微量でしかも容易に判定できることになった. 4.新規レクチンの特異性検討:シロソウメンタケにレクチンが存在することを見いだし、この活性を上記方法で検討したところ,糖鎖からGlcNAcを除去すると結合しなくなった.単糖とオリゴ糖では結合阻止されないので新規レクチンの可能性があると考え,純化精製を含めてその性状を検討している. 5.結合糖鎖の定量化:担糖ビーズ上の糖類は化学的にもアイソトープを用いた糖転移酵素によっても定量が困難であった.引き続き固定化量を増やす方法を見いだすことでこの研究を完成させる計画である.
|