磁性細菌Magnetospirillum magnetotacticumの磁気微粒子に局在する分子量22000の蛋白質(MAM22)の遺伝子をクローニングし、その全構造を決定した。その一次構造は MSSKPSDILDEVTLYAHYGLSVAKKLGMNMVDAFRAAFSVNDDIRQVYYRDKGISHAKAGRYSQAVMLLEQVYDADAFDVDVALHLGIAYVKTGAVDRGTELLERSLADAPDNVKVATVLGLTYVQVQKYDLAVPLLIKVAEANPINFNVRFRLGVALDNLGRFDEAIDSFKIALACVPMKARCIAPSPSAMSRWAGTRKPCRISRRPMNLTKGPRSEAVであった(DDBJ Accession No.D82942)。このアミノ酸配列のホモロジー検索を行ったところ、分子中央付近にTPRモチーフと呼ばれる特異なアミノ酸配列が3カ所存在していることが明らかとなった。このTPRモチーフはミトコンドリアの外膜やペルオキシゾーム膜に局在し、細胞質で合成された蛋白質の輸送受容体として機能している蛋白質に存在していることが明らかになっており、MAM22も類似の機能を有する可能性が示唆された。また、MAM22がTPRモチーフを介して分子接着することにより、磁気微粒子の連鎖状構造を保持している可能性もあり、今後検討していかなければならない問題である。 本研究ではMAM22遺伝子の他にその上流域、下流域に合計8個のオープンリーデイングフレーム(ORF)を確認した。総ての、ORFについてアミノ酸配列を決定し、そのホモロジー検索を行った。その結果、幾つかのORFについては既知の蛋白質との類似性を確認した。また、これらのORFのコドン使用頻度を解析した。
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