研究概要 |
生理活性ペプチドの多くは、内分泌細胞や神経細胞内で分子量の大きな不活性型前駆体として合成された後、前駆体の塩基性アミノ酸対部位での限定切断(プロセシング)である。最近、このプロセシングに関与する6種類の哺乳動物のプロテアーゼ(furin,PC2,PC3,PC4,PACE4,PC6)の存在が明らかになった。本研究では、これらのうちfurinとPACE4について以下のことを明らかにした。 1.furinおよびPACE4のcDNAを哺乳動物培養細胞に導入し、プロレニン変異体、フォンビルブランド因子、補体C3の前駆体を基質として用いて、これらのプロテアーゼの基質特異性を調べたところ、両者の特異性は酷似しているが、明らかに異っていることを示した。 2.furinについては、動物培養細胞で発現させた組換え体を完全精製し、プロレニンやプロアルブミンの変異体を基質として用いて、in vitroでの基質特異性を詳細に検討した。その結果、基質前駆体の切断部位の上流1位、2位、4位、6位に塩基性アミノ酸が存在することが特に重要であることを示した。さらに、切断部位の直後のアミノ酸が疎水性の高い脂肪族アミノ酸の場合は、切断されにくいことを示した。
|