研究概要 |
SNF2ヒトホモログ(hSNF2α/β)のクローニングと機能解析 酵母SNF2とショウジョウバエbrahmaのNTP結合領域に相同性を持つクローンをヒト脳cDNAライブラリーより得た。そのうち特に相同性の高い2つのクローン(各々hSNF2αとhSNF2βと命名)について全長cDNAをスクリーニングによって得て、解析を進めた。その結果hSNF2α/βは広範囲にわたって相同性を示すことから、ヒトホモログであることが有力となり以下の解析を行った。hSNF2α,hSNF2βのアミノ酸配列は互いに類似しており(74.6%identity)、中央にhelicase motifが、N末端にGly,Pro,Serが頻出する領域が、C末端にbromodomainおよび両極性に荷電した領域が存在する。hSNF2α/βmRNAは互いに類似した組織特異的発現を示した。hSNF2α/βはともにエストロゲンリセプターおよびレチノイン酸リセプター依存転写活性化を増強させた。 ヒトSNF2に相互作用するDNA結合性因子の単離とその機能解析 ヒトSNFの機能解析にあたり、SNF複合体の構成因子または標的因子の単離同定が必要である。このためtwo-hybrid系によって、hSNF2に相互作用する因子に対しスクリーニングを行った。SNFBP1はDNA結合活性を持つことが知られている約140kDAの蛋白であった。相互作用は酵母内のみならず、大腸菌産生蛋白とin vitro合成蛋白を用いたin vitroにおいても、さらにはin vivo two-hybridによっても確認された。相互作用に必要な領域はhSNF2α/βでは1-600アミノ酸、SNF2BP1では830番アミノ酸よりC末端側であった。SNF2BP1はゴルジ体、核膜、核内に局在し、核内においてはhSNF2α/βと安定な複合体を形成していることが判明した。また、SNF2BP1は核マトリックス結合部位MARに結合する結果も得られた。
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