研究課題/領域番号 |
06680611
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助手 (70182821)
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研究分担者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
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キーワード | ピリドキサル5′ーリン酸 / トランスアミナーゼ / 立体特異性 / オルニチントランスアミナーゼ / デオキシアミノコリスミン酸リアーゼ |
研究概要 |
トランスアミナーゼはピリドキサルリン酸(PLP)を補酵素とし、アミノ酸とケト酸の間のアミノ基転位反応を触媒するが、この反応はアミノ酸とPLPからケト酸とピリドキサミンリン酸(PMP)を生成する反応と、PMPと基質ケト酸から新たなアミノ酸を生成し、PLPを再生する反応から成る。この際、補酵素C-4′と基質α-位の間で水素転移が起こるが、この転位反応が補酵素C-4′を基準に補酵素-基質複合体のπ-電子平面のsi面またはre面上で立体特異的に起こる場合と、ランダムに起こる場合の3つの場合があり得る。この立体特異性は、補酵素と水素転移の触媒基の空間的位置関係、すなわち酵素活性中心の立体構造を反映する。トランスアミナーゼはその一次構造から、4つのグループに分類され、このうちD-アミノ酸トランスアミナーゼ(DAT)や分枝L-アミノ酸トランスアミナーゼなどの(III)グループの酵素のみが他のトランスアミナーゼとは異なる分子進化の過程を歩んで来たものと考えられている。研究代表者らはこれまでに、(I)(IV)グループの酵素がsi面上での、(III)グループの酵素がre面上での立体特異的水素転移を触媒することを見出し、水素転位反応の立体特異性と分子進化の関係を示唆した。本研究ではまず(II)グループに属するオルニチントランスアミナーゼがSi面上での立体特異的水素転位反応を触媒することを明らかにし、トランスアミナーゼにおける反応の立体特異性と分子進化の関連を確認した。さらに、DATと一次構造上の相同性が高いデオキシアミノコリスミン酸リアーゼが副反応として触媒するアミノ基転位反応に際して起こる水素転移が、re面特異的であることを見い出し、この関係がPLP酵素に広く当てはまることを示した。
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