研究概要 |
1.ヒト好中球のロイコトリエンB4ω水酸化酵素(CYP4F3)のcDNAを用いて酵素を酵母に大量発現させることに成功した。酵母のミクロソームをコール酸で可溶化後,AH-セファロース4Bカラム,DEAE-5PW-HPLC及びハイドロキシアパタイトHPLCカラムクロマトにより,酵素をSDS電気泳動上均一なバンドを示す迄精製した。見かけの分子量は55KDaで,N末端のアミノ酸配列は,cDNAより推定される配列と一致した。本酵素の絶対スペクトルは低スピン型のチトクロームP450を示し,還元型CO差スペクトルの吸収極大は449.5nmであった。同酵素のロイコトリエンB4(LTB4)のKm値は0.7μMで,この他に,6トランスLTB4,リポキシンB4,20ハイドロキシLTB4,12HETE等のω水酸化も触媒した。一方,ラウリン酸,アラキドン酸,プロスタグランジンA1等のω水酸化活性を全く示さなかった。 2.ヒト肝臓のロイコトリエンB4ω水酸化酵素(CYP4F2)のcDNAを用いて酵素を酵母に発現させ,ミクロソームを1オクチルグルコピラノシドで可溶化した。本酵素は6トランスLTB4に対するω水酸化活性がLTB4の6倍も高く,また好中球の酵素(CYP4F3)と異なり,リポキシンA4をω水酸化するが,リポキシンB4に対して活性を示さなかった。
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