大腸菌RNAポリメラーゼβサブユニットの構造-機能相関を明らかにする目的で、Meal創出アンバー変異間の組み換えによって、βサブユニット遺伝子(rpoB)に30-100コドン分のin frame欠失を持つ変異体を4種類作成した。プラスミドの置き換えを利用する遺伝学的手法によってこれらの変異遺伝子が細胞内で機能するか否かを検討したところ、4種類すべて致死的であり、正常な機能を失っていることが示唆された。しかし、無細胞抽出液を免疫沈降法およびグリセロール密度勾配遠心法で分析したところ、N末端近傍に欠失を持つ2つの変異体は、見かけ上コアまたはホロ酵素と思われる分子集合体に取り込まれていることが確認された。そこでこれらの変異体サブユニットを大量に発現し、精製したのち、in vitroでコア酵素もしくはホロ酵素を再構成してその性状を調べることにした。しかし上記の変異体は組み換え部位にアンバー変異を残しているため、サプレッサーの存在化でも大量のアンバーフラグメントが生成した。そこで現在、人工合成された強力なアンバーサプレッサーを同時に発現させることによって、完全長のサブユニットの発現効率を上げることを試みている。 βサブユニットは、遺伝的な解析から、緊縮制御のメディエーターであるグアノシン四リン酸(ppGpp)のターゲットのひとつと考えられている。この点をより直接的に証明するため、ppGppのアナログによるphoto affinity labelingを試みている。緊縮因子(RelA)の粗精製画分を用い、8-アジド-GDPとATPから、低収率ながら8-アジド-ppGppが生成することが確認されたので、放射性ラベルされた8-アジド-ppGppを調製しRNAポリメラーゼのアフィニティーラベリングを行なう計画である。
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