研究概要 |
1.3次元多核編集TRNOE解析:^<15>Nまたは^<15>Nと^<13>Cで一様にラベルしたマストパランXとGilαとの相互作用を3次元多核(^<15>N,^<13>C)編集TRNOEで解析した。通常のプロトンのみの2次元転移核オーバーハウザ-効果(TRNOE)スペクトルではシグナルの重なりによって区別できないNOEクロスピークが3次元スペクトルで分離できた。その情報を基に立体構造を計算したところ、主鎖のrmsdが0.33Åという非常に精密な構造が得られた(プロトンのみの場合は1.75Å)。 2.蛋白質の重水素化による結合部位の同定:重水素化したGilαと通常のGilα存在下でのマストパランXのTRNOE強度を比較することによって、マストパランXはαヘリックスの疎水面でGilαに結合していることがわかった。 3.Goαの発現:リコンビナントGoαを簡便に発現・精製する系を作成した。histidine-tagだけをN末端に付加する従来の方法では、tagの付いた蛋白質は会合・沈殿しやすいという難点があった。そこでtagとGoαの間にTEVproteaseの認識部位を導入し、tagの付いた蛋白をアフィニティークロマトグラフィーで精製した後、TEVproteaseで選択的に切断することによって、安定性の高いGoαを簡便に発現・精製できるようになった。 4.レセプター刺激がG蛋白質のGDP放出を促進するメカニズムを解明するために、レセプターミメティックがGilαの2次構造に及ぼす影響をCDで解析した。GDP放出促進に伴って、Gilαのαヘリックス含量が低下することがわかった。
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