研究課題/領域番号 |
06680650
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北尾 彰朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30252422)
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研究分担者 |
郷 信広 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50011549)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 非断熱電子伝達反応 / 電子カップリング因子 / Frank-Condon因子 / 規準振動モード / 溶媒効果 / Tanford-Kirkwood理論 / チトクロームb5 / チトクロームc |
研究概要 |
本研究では、非断熱電子伝達反応の反応速度定数を決定している電子カップリング因子とFrank-Condon因子のうち、後者を決定する方法を外国人共同研究者のゴ-タム・バス-氏と協力して開発してきた。平成6年度は、規準振動モードからから反応座標を決定してFrank-Condon因子を計算する手法の開発をおこなうと共に試行計算として溶媒の効果を考慮しないケースに検討を加えた。また、本研究は当初チトクロームb5を対象としていたが、まず溶液構造がNMRにより決定されているチトクロームcについて計算をおこなうことにした。 これらの計算を詳しく分析した結果、我々の扱っている系においては溶媒環境からの寄与の重要性が改めた明らかになった。そこで平成7年度は、前年度に構築した理論的枠組みに更に溶媒効果を取り入れる方法を導入することにした。溶媒の影響を取り込む方法としては、タンパク質分子近傍の水分子をあらわに考慮した分子動力学計算が一般的であるが、これまで構築した解析的な理論に導入する方法としては解析的で物理的描像がより明らかな理論がより適している。そこでわれわれはTanford-Kirkwood理論を応用することに決定した。この方法ではタンパク質の形状を球とみなしタンパク質の各原紙間の相互作用をあらわに計算する。また、球の外側を連続誘電体とみなし、誘電体から誘起される電場を考慮する。この方法は一見単純であるが、球の内外での不連続性のため、基準振動モードを決定する上で必要なエネルギー極小化において技術的な困難がある。平成7年度をこの問題を克服するためかなりの時間を要したが、現在はようやく溶媒効果を含めた計算を終了し検討作業を進めている。
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