研究概要 |
1.アポトーシスに伴う細胞核構造の変化の解析;dex投与によるE1A遺伝子の発現誘導後72時間で約90%がアポトーシスで死滅する細胞株MA1と、MA1由来細胞株でE1B19k発現レベルが高くアポトーシス誘導に強い抵抗性を持つMA1B17細胞株、発現レベルが低く弱い抵抗性を持つMA1B3細胞株を用いてアポトーシスに伴うクロマチンの異常凝縮との関連からDNAの高次構造を維持するトポイソメラーゼ(Topo)I、IIα、IIβの量的変動を解析した。その結果、(1)E1A誘導アポトーシスの潜伏期にTopoIIαが特異的に減少し、その減少に伴って細胞核の構造異常が誘導される(2)TopoIIαの減少はposttrans criptionalレベルで制御されている(3)その減少およびアポトーシスの誘導はE1B19kの発現レベルに相関して抑制される(Oncogene10,651-662(1995))ことが明らかとなった。これらの結果はE1A誘導アポトーシスにおける細胞内標的因子TopoIIαを初めて明らかにし、未解明のE1B19k蛋白質の機能を解析する上で重要な知見となるものである。15EA02:2.アポトーシスの進行過程に関与する細胞核内因子(apo因子)の遺伝子単離;大腸菌で発現させたGSTとE1Aの1-86アミノ酸部分の融合蛋白質(GST-E1A_<1-86>)が、大腸菌で発現させたヒト転写制御因子IdやE12とニトロセルロース膜上で結合することを確認した。このGST-E1A_<1-86>をプローブとし、West-Western法により結合因子のcDNAを検索したが該当するクローンは得られなかった。そこで検索方法をTwo-hybrid system法に変更し、現在までにE1A_<1-86>と結合する因子のcDNAを数クローンを得た。その塩基配列等を解析するとともに新たなcDNAクローンを検索中である。
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