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1994 年度 実績報告書

浸透に伴う細胞内カルシウムイオンの動員機構

研究課題

研究課題/領域番号 06680700
研究機関福井工業大学

研究代表者

田沢 仁  福井工業大学, 工学部, 教授 (80028117)

キーワードイノントールリン酸 / 液胞 / カルシウムイオン / シャジクモ / 植物細胞 / 水和によるカルシウム放出 / 葉緑体 / リアノジン
研究概要

車軸藻類Nitella flexilisの節間細胞を用いた。細胞の横断浸透法または細胞全体を浸透圧ショックを与えて細胞質を水和させたときの原形質流動の変化をビデオ録画より解析し、また細胞内Ca^<2+>濃度の変化を示すエコーリンの発光を光電子倍増管で光電流としてレコーダーに記録した。
1)細胞を10 mM KClで処理すると膜の興奮性は無くなる。この様な細胞の液胞を低張液で灌流し、細胞質を水和させたところ、大きなエコーリンの発光が見られた。同様の現象はほぼ等張液につけた細胞を10 mM KCl液に戻して吸水させたときにも見られたので、細胞質の水和が細胞内Ca^<2+>貯蔵器官からのCa^<2+>放出を促すものと結論した。
2)水和に伴うCa^<2+>放出に関係する細胞内小器官として液胞並びに小胞体が考えられる。液胞を1mM EGATを含む液で置き換えても、細胞横断浸透時、内浸透側で正常細胞と同じ時間経過で流動が停止する。このことは液胞はCa^2放出に関係ないことを示す。一方小胞体からのCa^<2+>放出にはリアノジン受容体およびIP_3受容体が関与することが動物細胞の知見から推察される。リアノジン、IP_3を細胞質に注射しても、流動及びエコーリンの発光には影響はなかった。またIP_3経路を阻害するヘパリン、TMB8も影響が見られなかった。更に小胞体のCa^<2+>ポンプを阻害するといわれているCPAも流動停止の回復に影響がなかった。以上の事実より小胞体は水和によるCa^<2+>動員には関与しないと結論した。
最後に葉緑体の可能性を検討した。細胞をカルシュウ-ムのキレート剤EGTAを含む液で液胞灌流し、液胞膜を除去した後、絞り出し法により、葉緑体を含む画分と含まない画分とに分離した。これらに低張液を加えると、前者は顕著な発光を示すのに対して、後者は全く発光しなかった。このことは細胞質の水和により、葉緑体よりCa^<2+>が胞放出されることにより流動が停止することを示唆している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Okazaki,Y.: "Light-induced changes in cytoplasmic pH in leaf cells Egeria densa." Plant and Cell Physiology. 35. 943-950 (1994)

  • [文献書誌] Shimmen,T.: "Characean cells as a tool for studying electro-physiological characteristics of plant cells." Cell Structure and Function. 19. 263-278 (1994)

  • [文献書誌] Tazawa,M.: "Concanamycin 4-B: a potent inhibitor of vacuolar pH regulation in Chara cells." Botanica Acta. 108. (1995)

  • [文献書誌] Tazawa,M.: "Cytoplasmic hydration triggers a transient increase in cytoplasmic Ca^<2+> concentration in Nitella." Plant and Cell Physiology. 36. (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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