研究概要 |
LS領域内の線維連絡 LS内側部(AMLS,PMLS)から底部、外側部(ALLS,PLLS)に投射を認めたが、外側部から内側部への投射は、底部にはかなり認められるものの、極めて少ない。内、外側部ともに投射の多くは底部に終わることから底部はLS領域での情報処理にかんする重要な部位と考えた。この底部とLS領域外の諸構造との結合様式を分析中である。結果の一部は神経科学学会で発表し、さらに現在投稿準備中である。 LS領域と外部との線維連絡 (1)BiocytinおよびCa結合蛋白質のcalbindin D-28Kとparvalbuminを用い、皮質線条体投射と線条体コンパートメント構造との関係を観察した結果、皮質線条体投射はCa結合蛋白質陽性である線条体マトリックスに限局することが示された。この結果は投稿中である。 (2)視床後外側核群(LP)の各種神経伝達物質陽性ニューロンを免疫組織電顕的に検索し、それぞれの陽性ニューロン、軸索、等の微細構造を明らかにした。コリンアセチルトランスフェラーゼ陽性終末の起始部位が脳幹の脚橋被蓋核(PPN)であることを確認した他陽性軸索の起始ニューロンの同定を含めさらに詳細に検討し結果を本年度中にまとめ投稿する予定である。 (3)皮質・線条体・黒質網様部・上丘深層部回路網の詳しい分析およびこの回路にLPがどのように関わるかを検討する目的で当初計画した方法論(逆行性標識と変性終末および順行性標識終末の同定等)には予想を越えた困難さがあることもわかった。とくに皮質視床投射および視床線条体投射終末は樹状突起の遠位部に終止する傾向にあるため、これらの投射線維を受けるニューロンを同定するためには樹状突起のこの遠位部まで逆行性標識させる方法をさらに検討する必要にせまられた。この実験方法の再検討も含め実験を継続中である。
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