| 研究概要 |
前年度に明らかにした黒質網様部の背外側部から上丘を介して口腔顔面運動核の前運動ニューロンへ至る大脳基底核性出力経路について,光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルでさらに解析した.
1.光学顕微鏡レベルで,順行性および逆行性標識法を組み合わせることによって,口腔顔面運動核の前運動ニューロンプールである小細胞性網様体へ投射するニューロンの分布領域と黒質網様部の背外側部からの投射線維の終止領域が上丘最外側部で一致することを同一標本で観察した.
2.電子顕微鏡レベルで,上記の上丘ニューロンと黒質線維との連絡様式を解析した.その結果,黒質線維は上丘ニューロンの細胞体や樹状突起と対称性のシナプス結合を形成していることが明らかとなった.また,順行性標識法と免疫電顕法とを組み合わせることによって,この黒質線維はGABAを伝達物質として含有していることも証明できた.
以上の結果により,黒質網様部-上丘-小細胞性網様体投射路の存在を確実なものにした.また,これまで薬理生理学的に示唆されていた黒質-上丘GABA作動性神経路の顎顔面運動への関与を形態学的に証明することができた.
現在,小細胞性網様体に分布する黒質からの直接投射線維や上丘からの投射線維について電子顕微鏡的観察を継続して行っているところである.
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