まずBL/6Jマウス脳と肝臓におけるミエリン塩基性タンパク質(MBP)遺伝子エクソン0とエクソン1a間の距離の違いについてエクソン0内プライマー及びエクソン1a内プライマーを用いてPCR法により検討した。観察された増幅バンドについて非対称PCR法を行ない、DNA塩基配列分析を行なった。しかしながら、いずれも特異的増幅バンドではなく、両組織とも有意な増幅バンドは見い出されなかった。従って、両エクソンはPCR増幅が可能な距離にはなくPCR法による検討は不可能であると考えられた。そこで、MBPエクソン0とエクソン1aにまたがるDNA断片(TRT)をMBPcDNA(M41クローン)から調製し、これをプローブとして脳及び肝臓DNAをEco RI、Hind III各単独消化したもの及び両者で消化したものに対しサザーンブロット解析を行なった。その結果脳及び肝臓DNAのパターンは同じであり有意な差異は見いだせなかった。これまでに行なった方法は、ミエリン形成細胞の全てに変異が起こっている場合を想定したものであり、その様な可能性には否定的な結果であった。しかしながら、極一部のミエリン形成細胞にのみ変異がある可能性を否定するものとは言えず、現在そのような可能性に基づき検討を進めている。
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