研究概要 |
ウシ脳5kgより27,000倍の単一標品1.2mg(分子量80、000、サブユニット39、500のホモダイマー)に精製したピリドキサルキナーゼ(PL-K)を抗原とし,家兎、ラット、マウスを免疫したが、種の共通抗原性よりラット、マウスのみに抗体価上昇が認められた。マウスからは単クロン抗体を得るべく数回の細胞融合にも拘らず未だ得られていない。ラット抗血清と免疫ラットの腹水肝癌移植で約30ml/匹の血清に準ずる力価の抗体含有腹水を得、これを用いて家兎脳内PL-Kの免疫組織学的分布を検討し、カテコールアミン、ドーパミン、セロトニン産生神経細胞に強い局在を認めた。また、レセルピン投与による脳活性アミンとPL-K活性、免疫ブロット法ならびにELISAで測定した免疫反応性PL-Kの変動を交差反応するハムスター脳で検討し、従来とは異なる極めて重要な知見を得た。現在核酸レベルでの解析からこの事実を再認識すべく努力中である。 PL-K精製、多クロン抗体作製は順調に進み、これを用いた実験はほぼ計画どうり進行したが精製標品より得られたアミノ酸配列の情報と抗体を用いて脳PL-KcDNAのクローニングを行ったが、脳内に於ける発現の低さからか未だ充分なクローンは得られていない。今年度はPCRを利用してこれを得る努力をする。また、マウス脾臓を用いた細胞融合法では単クロン抗体は多くのクロンが発現するにも拘らずPL-Kと反応するクロンは得られなかったのでラット脾臓をパートナーとして再度施行する予定である。
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