成長ホルモン(GH)とソマトメジンの血中濃度が正常であるにもかかわらず、小人症を呈し、脳の発育異常(小頭症、ミエリン低形成)と行動異常(自発活動量の減少とその日内変動の消失)を示す、pygmy ミュータントマウス(pg)を用いて、脳発育、発達に関与するGH依存性の二次ホルモンであるinsulin-like growth factor-1(IGF-1)とその受容体について発育期を追って検索した。その結果、(1)生後10日から20日にかけてのpgマウスの血清IGF-1の増加が認められなかった。肝臓、腎臓、大脳、脳幹でも20日齢で正常マウスと比較して低値を示した。(2)pgマウスのサイロキシンは正常マウスと同様に10日目から30日目にかけて減少するが、いずれの時期も正常マウスの70から80%に低下していた。(3)大脳、脳幹、小脳のミクロソームへのIGF-1の特異的結合を発育を追って検索したがいずれも正常マウスと明らかな差は認められなかった。
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