研究概要 |
(1) 牛脳からの細胞膜,可溶化膜画分およびGTPアーゼの分離は都立医療技術短期大学で行い,マストパラン・アナログとフラグメントの固相合成は青山学院大・理工学部で実施した。 (2) スズメバチ毒腺中の生理活性ペプチドであるマストパランをリガンドとするアフィニティー・クロマトグラフィーを実用化した。ペプチド固相合成用アミノ型樹脂に先ずグリシン残基を結合させた後,順次C末端から14残基を伸長し,カルモデュリン,BSAなど既知タンパク質の吸着性を検討した。 (3) マストパランの標的タンパク質の一つと考えられるGタンパク質との相互作用を解析するためにRIを使用しないHPLCによる簡便から再現性の高いGTPアーゼ活性測定法を新規に確立した(“生化学"および都立医療技術短大・紀要参照)。合成したマストパラン・アナログのGTPアーゼ活性促進効果を検討し,これとカテコールアミン放出活性との間には必ずしも並行性が認められないことが明らかとなった。 (4) マストパランのC末端フラグメント(4〜6残基)はマストパランのカテコールアミン放出活性を強く阻害すること(生理活性マストパラン・フラグメントとして特許申請中),およびGTPアーゼ活性促進効果を阻害する可能性が高いことが示された。マストパランの標的タンパク質がレセプターあるいはその近傍に存在する可能性が示唆される。
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