研究概要 |
培養交換神経細胞,primed PC12細胞では、NGF刺激により突起が誘導される場合に、新たな遺伝子の発現は必要とれない事実、細胞或いは突起の局所で分オーダーで反応するなどの事実から突起伸展誘導反応は、細胞分化過程とは分離したメカニズムを考えるべきである。PC12D細胞を用いて以下の実験を行なった。(1)核を除去したPC12D細胞でも、NGFに反応し、突起の伸展が誘導された。(2))PC12D融合細胞より伸びた長大な突起を細胞から切除した。分離突起は、数時間で萎縮、崩壊するが、NGF存在下で保護効果が認められた。NGFによる神経突起の伸展および維持は、核の関わらない細胞局所の反応であると考えられる。(3)突起伸展に先行するラッフル形成と細胞の基質への接着度を、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン上で調べた結果、ラッフルの形成と接着性に相関性が認められ、突起伸展は細胞局所における接着性の変化が先行する可能性が考えられた。(4)NGFに対する走化性によって神経突起が伸びるとする仮説が受け入れられているが、PC12D細胞の神経突起が、微小ピペットからのNGFに方向を変える結果は得られなかった。(5)またポリリジンコートした径1umのビーズを培養したPC12D細胞の周囲に置いて、NGFを添加し培養した結果、1日後、伸びた突起の位置に関わらず、細胞周囲のビーズが全部細胞に引き寄せられた。ビデオ録画より、ビーズは伸縮を繰り返す突起によって、移動したことが分かった。NGFに向かい走化性を示すと言うよりも、フィロポデイアと神経突起が伸縮を繰り返しNGFソースに向かう可能性が示唆される。
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