研究概要 |
バゾプレシン(AVP)遺伝子の上流による糖質コルチコイド(GC)反応部位が認められ,In vitroではGCによりAVP遺伝子の発現が抑制されることから,GCが直接的にバゾプレシンの遺伝子発現を調節する可能性が報告されている。しかし,生体でGCの過剰や減少が浸透圧受容体や容量・圧受容体を介したAVPの遺伝子発現調節に関与するか否かは未だ明らかではない。これらの点を明かにするために,平成6年度にはラットを用いてGC過剰状態を作成し,脱水下の視床下部AVP mRNAの発現調節を検討した.〔方法〕ラットの皮下にコルチコステロンの錠剤(100mgまたは500mg)を植え込み5日後に断頭採血と視床下部の摘出を行った。対照群ではコレステロールの錠剤を投与した。一方、対照群とGC(500mg)群で3日間の脱水刺激の効果を検討した。血液よりヘマトクリット、血漿浸透圧、血漿AVP、コルチコステロンを測定した。視床下部は、ホモゲナイズ後、総RNAを精製し、既報のノザン法によりAVPmRNAを検出した。〔結果〕GC投与により血中コルチコステロン値は容量依存的に増加した。同様にヘマトリット、血漿浸透圧、AVPmRNAの増加が認められた。一方、3日間の脱水により対照群ではAVPmRNAは2.2倍に増加したが、GC(500mg)群では1.6倍の増加にとどまった。両群で脱水によるヘマトリット、血漿浸透圧の増加に差はなかった。〔結論〕以上の結果よりGCの過剰は脱水刺激によるAVP遺伝子発現を抑制することが判明した。 以上の結果は平成7年6月の内部泌学会総会で報告の予定である。また、現在,研究計画に沿いGC過剰状態での出血刺激の効果の検討を行っている.
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