感覚運動野及び頭頂連合野のスライス標本とin vitroでの解析を行った。体性運動野スライス標本記録では、3層錐体細胞の一部が新たにburst発火を示すことを明らかにし、可塑的シナプス結合の存在を白質の高頻度刺激下での膜電位の変化と、シナプス電位の解析により行った。白質のテタヌス刺激後膜電位の変化と共に、シナプス応答の長期増強(LTP)または長期抑制(LTD)が出現することが明らかになり、しかも一部は、NMDAレセプターに関係しない可能性が示唆された。現在解析を続行中である。これらの結果の一部は、第4回IBRO学会で発表し、4月の生理学会でも発表する予定で、現在論文を準備中である。In vivoでの解析は、頭頂連合野と体性感覚野における非錐体細胞の細胞内染色による形態学的解析と視床核刺激による反応をまとめて、現在論文を準備中である。頭頂連合野では、小脳性入力に比較的短潜時で反応する細胞が非錐体細胞に見つかり、視床からの短シナプス性結合の電気生理学的所見を得た。体性感覚野でも、この様な非錐体細胞が豊富に記録でき、先の頭頂連合野での所見を裏付けるデータとなった。一方、頭頂連合野が関与すると思われる。運動性代償機構の解析は、代償性変化が必ずしも一定して出現せず今後形態学的手法を併用して解析を続ける予定である。In vivoの運動代償機能の研究の一貫として、顔面神経切断・縫合の実験を行ってきたが、脳神経線維の再生に伴い、脳幹内のシナプス結合が一過性に変化する可能性が示唆される結果を得、現在論文を作成すると共に、その詳細について研究を継続する予定である。この結果も、昨年の生理学会・IBRO大会で発表するとともに、4月の生理学会で続報を発表する予定である。
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