研究概要 |
本研究の目的は、アルビノおよび有色ラットの至適照度を明確にし、照度が生体リズムに与える影響を明らかにすることである。そこで今年度は、100luxを標準ケージ内照度としてラットを飼い慣し、その後10あるいは1,000luxに照度を切替えた場合にみられる行動の変化を観察した。アルビノラットとしてはWistar-今道系雄ラットを、また有色ラットとしてはBN系雄ラットを用い、40日間以上にわたって観察を行った。 【結果】(1)ケージ内照度を100luxから1,000luxに切替えた場合: アルビノラットの場合、照度切替と同時に自発運動活性の有意な亢進が認められた。その後活性は低下したが、それでも100lux時の基線を上回っていた。日周リズムパターンでは、明期での活性低下および暗期での著明な活性亢進がみられた。一方、有色ラットでは照度切替に伴い活性基線の減少傾向が認められたが、日周リズムには変化がなかった。なお、飲水行動に関しては両ラットとも照度増加に伴う特徴的変化はみられなかった。 (2)ケージ内照度を100luxから10luxに切替えた場合: アルビノラットでは、切替後周期的に自発運動活性が低下する変動がみられ、基線は安定しなかった。日周リズムパターンでは、暗期21および24時の活性が低下していた。一方、有色ラットの場合、照度切替後自発運動活性の基線が低下したのち安定する傾向が認められた。この場合の日周リズムパターンは100luxの時とほぼ同様であった。なお、飲水行動に関しては、アルビノラットで101ux切替後、飲水量の減少傾向がみられたが、有色ラットでは1日量および日周リズムに照度減少に伴う特徴的変化はみられなかった。 【結論】今回の結果から、有色ラットと比べてアルビノラットでは環境照度の変化により自発運動量および日周リズムパターンが容易に変化し、低照度でもあまり安定しないことが知られた。一方、飲水行動は照度の変化と関係なくほぼ安定していることが知られた。
|