照明条件がラットの行動リズムおよび薬物感受性リズムに及ぼす影響について

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06680825
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 篠田 元扶 群馬大学, 医学部, 助手 (70084605)
• キーワード: 照明条件 / 照度 / 自発運動 / ラット / 日周リズム / 感受性 / ペントバルビタール / コカイン

研究概要

雄のアラビノラット(Wistar-Imamichiラット:W-Iと略)と有色ラット(BNラット:BNと略)の自発運動活性を10、100および1000luxの照明条件(6時点灯、18時消灯)下で観察し、以下の実験結果を得た。
1)W-Iは照度変化に基づき行動活性が変化したのに対し、BNでは照度変化に対する反応性はみられなかった。また、W-Iの10lux飼育群において明期の自発運動活性が亢進していたが、このことを除けば各照度群の自発運動の日周リズムパターンには差がみられなかった。
2)両系統のラットに対し、pentobarbital sodium (50mg/kg, ip)を9時および18時に投与した場合、各照度群とも麻酔効果に差はなかったが、麻酔持続時間は9血投与の方が18時投与よりも長時間に及んだ。
3)両系統のラットに対し、cocaine (10mg/kg, sc)を9時に投与した場合、10lux群で最も強い反応がみられた。
4)W-Iに対し、18時にcocaine投与した場合、急性効果は9時投与よりも長く持続し、行動活性は10lux群で最も強かった。一方、BNでは100lux群が最も強く反応し、10lux群の反応は最も弱かった。
5)各照度条件下におけるW-IおよびBNの血液生化学値を経時的に測定した結果、総蛋白、血糖値、GPT等の一部に照度の違いに起因する差が認められた。
以上のように今回の実験結果から、飼育照度の差に基づきラットの自発運動活性およびある種の薬物に対する反応性が相違することが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Y. Iijima, T. Asami, M. Shinoda, et al: "Changes in the Sensitivity to Methamphetamine Induced by Saline Treatment in the Measurement and Breeding Cages: Evaluation by Ambulation in Mice" Jap. J. Psych. Neurol.48. 710-711 (1994)
• [文献書誌] Y. Iijima, T. Asami, M. Shinoda, et al: "Evaluation of the rebound phenomenon (sub-acute behavioral suppression) induced by cocaine by means of wheel-running and drinking in mice" Neuropsychopharmacology. 10 (3s/parts2). 125S (1994)
• [文献書誌] 飯島幸生、篠田元扶、浅見隆康 他: "マウスの車回しおよび飲水行動の日周リズムからみたコカインの急性効果および反跳現象" 日本神経精神薬理学雑誌. 14. 548- (1994)
• [文献書誌] Y. Iijima, M. Shinoda, H. Kuribara, et al: "Evaluation of acute and sub-acute effects of cocaine by means of circadian variation in wheel-running and drinking in mice" Jpn. J. Psychopharmacol.15. 315-321 (1995)
• [文献書誌] H. Kuribara, M. Shinoda and Y. Uchihashi: "Delayed effects of ethanol, caffeine and nicotine assessed by wheel-running and drinking in mice" J. Toxicol. Sci.20. 595-602 (1995)