研究概要 |
平成7年度は前年度にc-erbB-2の発現に関して検索した乳癌株、胃癌株を用いてc-erB-2遺伝子産物に対するマウスモノクローナル抗体(mu4D5)と、その抗体の可変領域を含めすべての蛋白をヒト型に置き換えたc-erB-2ヒトモノクローナル抗体(rhu4D4)に関して、in vitro,in vivoにおける抗腫瘍効果を比較検討した。 1.c-erbB-2発現ヒト乳癌株SK-BR-3に対する抗体の直接的な増殖抑制をMTTアッセイをもちいて検討した。ruh4D5,mu4D5ともに0.1-100ug/mlの濃度でSK-BR-3に対して増殖抑制を示したが、rhu4D5はmu4D5に比較して増殖抑制の程度は低かった。 2.SK-BR-3およびc-erbB-2発現ヒト胃癌株4-1STに関して、マウス脾細胞、ヒト末梢血単核細胞とrhu4D5,mu4D5の組み合わせによるADCCを^<51>Cr放出法を用いて比較した。SK-BR-3、4-1STに対して、ruh4D5とヒト末梢血単核細胞を用いたときに最も強い細胞障害性が認められた。SK-BR-3に対してはマウス脾細胞とmu4D5の組み合わせで軽度の細胞傷害性が見られたが、4-1STに対してはマウス脾細胞とmu4D5の組み合わせを含め他の組み合わせではADCCが認められなかった。また、c-erbB-2非発現株に対してはADCCを認めなかった。 3.4-1ST移植SCIDマウスにrhu4D5,mu4D5を投与し腫瘍の増殖抑制をin vivoで検討したところ両抗体とも増殖抑制効果を示したが、mu4D5でより強い増殖抑制が見られた。c-erbB-2非発現株に対しては両抗体とも増殖抑制は認めなかった。 4.4-1ST静注SCIDマウスにrhu4D5とヒト末梢血単核細胞を投与し、転移性肺癌からのマウスの延命効果を検討したところ、ヒトIgG投与対照に比較してわずかに延命効果が認められたが、mu4D5sの延命効果には遠く及ばなかった。
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