研究課題/領域番号 |
06680846
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 憲治 東京大学, 医学部(医), 助手 (80010106)
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研究分担者 |
越田 一郎 東京工科大学, 工学部, 助教授 (00192055)
福田 正人 東京大学, 医学部, 助手 (20221533)
平松 謙一 東京大学, 医学部, 助手 (50218814)
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キーワード | 脳波リズム / 神経回路 / アルファ波 / シナプス電位 / CSD / 神経伝達物質 / 誘発電位 |
研究概要 |
本年度においては,人間の認知・言語理解過程と脳律動情報との関係につき、以下の5項目の研究を進めた。 1.認知・言語関連律動活動の発生過程のモデル化に関し、皮質各層と視床特殊・非特殊核など皮質投射核との連絡を持つ基本的な神経・シナプス回路を構成して、その律動波発生機構の解析をシナプス電位起源の皮質内CSD(currentsource densities)理論を基に、各種律動波の基本波形の特徴と繰返し周波数決定要因を求めた。 2.単一律動情報を抽出する時系列解析法に関し、既に開発を済ませている事象関連電位のための適応相関フィルタを改良して、神経・シナプス回路モデルより推定されるテンプレートを初期値に用いて律動波バーストの抽出を試み、この結果をもとに単一律動情報抽出の基本アルゴリズムを開発した。 3.脳律動情報収集に用いる実験検査法に関し、左右視野および左右耳に選択的注意を行う言語・非言語認知課題、意味的に関連の程度の異なる単語系列・構文による概念処理課題、曖昧文および難解文の文理解課題、認知枠組み・文脈形成のフィードバック訓練学習課題を開発し、実験システムを構成した。 4.律動情報の特徴解析と脳内伝達物質・調節物質代謝産物との比較に関し、上記の神経回路モデルに、前頭前野-脳底神経系および中脳-視床網様系を付加し、これら両系の神経伝達物質・調節物質の寄与を検討し、実際の認知・言語行動時の脳内物質活動との対応を血中代謝物質の採取・分析により行う手法を求めた。 認知・言語行動およびその障害モデル構築と臨床応用に関し、認知・行動異常を示すものとして精神分裂病を取り上げ、患者の認知・言語行動の障害、脳内伝達物質・調節物質の代謝異常、脳波・脳磁図に見られる律動情報の変調の三者間の関係を求め、上記の成果をもとに、臨床応用に向けてのモデル化の基礎とした。
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