平成6年度は、電子識別・保護システムの基本的骨格を概略完成することを目標にした。本研究者らがすでに提案し、一部試験運用されているシステムについて、携帯用送信機と装置全体の一層の小型化、高性能化、高信頼化をはかると共に、個人識別可能な送受信システムとして機能の拡充を目指した。前者については、老人の所持不快感を可能な限り除くためであり、後者については収容スペースに余地のない一般家庭でも容易に設置できるように、必要な機能を一つの装置にすべて組み込むこととした。 研究分担:主にハードウェア担当を(山本)、ソフトウェア担当を(若松)とした。 (1)老人の徘徊行動を把握するために必要な、個人識別用携帯用送信機については、すでに本研究者らが徘徊感知専用に開発したものを、識別回路を付加して個人識別可能な携帯用送信機に改良した。そのために、消耗品明細に示した種々の電子部品を用いて製作した。また、さらに超小型化を目指す。(山本) (2)個人識別用携帯送信機の携帯により、痴呆性徘徊老人であることが一般の人には分らないように、装飾的にも工夫して、腕時計型、御守り型および専用ベスト型などのデザインを考えた。腕時計型については、防水構造をさらに検討する必要がある。(山本) (3)介護者に老人の外出を知らせるランプやチャイム、メロディによる警報器の改良を行い徘徊老人各々に対応させた個人識別可能な警報報知システムにした。(山本) (4)徘徊老人毎の徘徊時刻、徘徊回数、出入口などの徘徊デタ-を収集可能にするソフトウェアを開発した。(若松) (5)得られた徘徊デタ-を処理分析し、徘徊行動パターンや心理的特性などの分析を可能とするソフトウエアを開発中である。(若松)
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