研究概要 |
高速気流中衝撃法によって調製したヒドロキシアパタイト/部分安定化ジルコニア複合化微粒子の焼結体を作製しその内部構造,組成変化,破壊靱性などについて検討した結果,以下の事項が明らかとなった。 1.焼結体内部では,部分安定化ジルコニアが三次元網目構造をとる連続相として存在し,その中にヒドロキシアパタイト微粒子が独立的に存在した。 2.焼結体の割断面には,相対的に面積の大きいヒドロキシアパタイトだけの領域が存在し,ヒドロキシアパタイトが本来有する骨組織親和性が引き継がれている可能性が強く示唆された。 3.一軸加圧および冷間等方圧プレスによる成形体の焼結過程で,ヒドロキシアパタイトの一部がα型リン酸三カルシウムに変化した。変化の割合は部分安定化ジルコニア量の増大に伴って増加した。ヒドロキシアパタイトのみの場合は変化が認められなかった。 4.ホットプレス焼結体では,いずれのヒドロキシアパタイト/部分安定化ジルコニア重量比においても,α型リン酸三カルシウムの生成は認められなかった。 5.破壊靱性は部分安定化ジルコニア量の増大に従って向上する傾向を示し,ヒドロキシアパタイト/部分安定化ジルコニア重量比=10/10では,ホットプレス焼結体で2.8MPa m^<0.5>という高い値が得られた。
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