本研究はX線CT画像から得られる病変部位の3次元位置情報と結合したロボットをX線CTガントリ-内に設置することにより、脳内に刺入した器具の位置と病変部位をモニターしながら器具を高精度に到達させ、生検を実行する脳内手術支援ロボットシステムの開発を行うものであり、以下の項目について実施した。 1.脳神経外科用微小手術支援ロボットは、(1)生検針、組織採取部、(2)刺入方向設定部、(3)球面軌跡部、(4)頭部固定フレームの構成で、設計製作を実施した。組織採取部は小型軽量化から、形状記憶合金コイルばねをアクチュエータに採用した。刺入方向設定部では頭蓋に開けられた小孔より複数の目標に生検針が到達できるように2自由度を持つ機構とし、駆動にはDCモータを用いて製作した。球面軌跡部は頭部を仮想球体と仮定し、球面を描く軌跡となるロボットをリンク機構と2つのDCモータ駆動で球面軌跡が得られるロボットを製作した。本ロボットは頭部を仮想球体としたときに1/4をカバーできるようにして残りの部分は患者頭部の固定位置を変えることにより対処することとした。頭部固定フレームは頭部を4点ピン固定するものとし、CT画像から病変部位の3次元位置を得るためのカーボン製マーカーを取り付けたものを製作した。以上、ロボットの完成によりロボット制御部を製作した。 X線CT画像情報とのインターフェースの開発 (1)X線CT2次元画像からCT画像1枚または複数枚をモニターに表示できるようにした。(2)目標点3次元座標の構築は、複数の2次元画像から3次元座標を求めるソフトウェアを開発し、CT画像とともに目標点の3次元座標を表示できるようにした。 3.X線CT画像情報に基づいたロボットの制御ソフトウェアの開発 ロボットの制御手法として、モニターに表示されたCT画像上の目標点に対して生検針を到達させるソフトウェアを開発した。 4.ロボットの総合動作実験と評価 本ロボットの生検針到達精度は0.01mmでほぼ要求精度を満たしていることを確認した。
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