研究概要 |
ダルマキールティの『プラマーナ・ヴァールティカ』プラマーナシッディ章はその思想的重要性にもかかわらず、サンスクリット・テキストが未だ十分な校訂がなされておらず、定本と呼ぶべきものが存在しないのが現状であった。本研究は、同章のサンスクリット・テキストのクリティカル・エディションを作成すべく、以下の様な研究を行なった。 1.ラーフラ・サーンクリットヤーヤナ等による各出版本に言及されている写本のヴァリアント、および出版本間のテキストの異同を明確にした。 2.スタンダード版とされるサキャパンディタのチベット語訳(sDe dge No.4210)、さらにデーヴェーンドラブッディ、・プラジュニャーカラグプタ、ラヴィグプタ等の注釈書(sDe dge Nos.4217,4221,4224,etc.)に含まれる他の訳者の手になるチベット語訳を検討した。 3.デーヴェーンドラブッディ、シャーキャブッティ、プラジュニャーカラグプタ、ラヴィグプタ、マノーラタナンディン等の注釈者の解釈から偈頌のテキストを想定した。 4.ジャイナ教やニャーヤ学派等の論書に引用されるテキストを収集し、一覧表を作成したうえで、比較検討を行なった。 5.以上の成果をパソコンに入力し、データベースを構築し、その上でサンスクリット・テキストのクリティカル・エディションを作成した。 最終的には以上全体の研究成果はウィーン大学チベット学仏教学研究所より出版したりと考えている。
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