明治20年代の建築および室内装飾に関する調査研究を、明治の日本におけるナショナリズムの担い手たちが生みだしたシンボルとして興味深い、明治21年完成の新宮殿(通称:明治宮殿)を中心に実施した。 1.宮内庁書陵部に保管されている明治宮殿に関する文献資料の存在を確認した。対象とした主な資料は次の通りである。 1)『皇居造営誌本紀』全130巻(付:絵図5帖) 2)『皇居造営誌下調図』2帖 3)『皇居御造営諸建物其他明細図』34帖 4)『皇居御造営内部諸装飾明細図』32帖 2.上記の調査であきらかとなった事柄のうち、とくに室内装飾のデザインや実際に装飾を手がけた工芸家たちについての研究を進めるため、明治時代に結成された工芸技法別の団体に関する文献資料の収集を幅広く行った。対象とした団体は次の通りである。 1)東京彫工会 2)日本金工協会 3)東京鋳金会 4)大日本窯業協会 5)大日本織物協会 6)日本漆工会 3.上記の工芸技法別の団体と深く関わっていたと考えられる美術団体に関する文献資料の収集もあわせて行った。対象とした団体は次の通りである。 1)日本美術協会 2)京都美術協会 今回は、以上3段階の資料収集を行うにとどまった。今後はこれらの基礎的データの分析を継続し、研究を進めて行きたいと考えている。
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