射影多様体M⊆Pに対して、Mの一般の点xにMのxでのPに埋め込まれた接空間T_xMを対応させることにより得られるMからグラスマン多様体への有理写像を、射影多様体Mのガウス射という。平成6年度の研究目的は、正標数の代数閉体上定義された射影多様体のガウス射の構造を調べることであった。 M⊆Pに対して、法束の双対から微分の2階対称積への自然な写像N^V_<M/P>→S^2Ω^1_Mが定まる。これはガウス射の微分を表わすもとして知られ、その像(の基底)は第2基本形式と呼ばれている。Mの各点xで第2基本形式は、xでのZariski接空間t_xMの1次元部分空間の全体のなす射影空間P_*(t_xM)上の2次のlinear systemを定めることが容易に分かるが、今年度はこのlinear system、特にそのbase locusと射影多様体の性質との関係について研究を行った。 射影多様体M⊆Pの一般の点xに対してM∩T_xM={x}が成立するとき、Mを接的に非退化合ですら未解決であり、本研究課題おいても非常に重要と思われる。今年度の研究を通じて、その分類に対しても第2基本形式を調べることが有効であることが判ってきた。将来は、この問題についても研究をすすめてゆきたい。
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