研究概要 |
1次元球面S^1から単連結空間Xへの連続写像全体からなる空間をΛXとする.本研究の目的の1つは、Xのコホモロジー環がGCI-代数であるとき、ΛXの有理係数コホモロジー環H^*(ΛX;Q)の代数構造を決定することであった.(ただし、ここでいうGCI-代数とはQ[x_1,.,x_n]/(p_1,.,p_n)という形の環でp_iがQ[x_1,.,x_n]/(p_1,.,p_<i-1>)の零因子であるものをいう.)H^*(ΛX;Q)に収束するEilenberg-Mooreスペクトル系列のE_2-項を決定する際に利用されるH^*(X;Q)のKoszul複体とSullivanの極小モデルとを比較することによりH^*(ΛX;Q)の代数構造を決定するための“うまい"チェイン複体を構成することができた.結局それはGCI-代数ΓのHochschildホモロジー環を計算するためのチェイン複体にもなり、H^*(ΛX;Q)の計算は全く代数的なHochschildホモロジーHH_*(Γ)の計算に移行する.結果としてp_i≠p_j(i≠j)という仮定の下H^*(ΛX;Q)(【similar or equal】HH_*(Γ))の代数構造を完全に決定することができた.簡単にいえば、Γ^^〜=Γ【cross product】Λ(x^-_1,..,x^-_n)とするときHH_*(Γ)はΣ^n_<i=1>(∂ρk)/(∂x_i)x^^-_i.という元のΓ^^〜における零化idealを用いて表示できることになる.第2の目的は、写像φ_n:LM→LM;φ_n(γ)(e^<iθ>)=γ(e^<inθ>)により誘導されるコホモロジー間の巾写像φ^*_nを考えるとき、この写像の固有ベクトル空間への分解(HH_*(Γ)のホッジ分解)における各因子の次元を調べることであった.これに関しては、HH_*(Γ)の計算に用いたチェイン複体とSullivanの極小モデルとの対比を明らかにすることにより、ホッジ分解HH_*(Γ)=【symmetry】p【greater than or equal】0HH^<(p)>_*においてHH^<(p)>_i≠0となるiのうちで最大である値j(p)を決定することができている.またdimHH^<(p)>_<j(p)>=1という結果も得ている.さらに上の結果をまとめたプレプリントでは、ΛXのmod pコホモロジー環はpがH^i(X;Z/P)≠0となるiの最大値より大きいならば有理係数の場合と同様に決定できることも示している.
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