研究概要 |
Stark効果をもつSchrodinger作用素に対する数学的散乱理論は1977年のAvron-Herbst及びVeselic-Weidmaunの独立した共同研究によりその短距離理論が完成したがこの理論の適用限界となるポテンシャルのクラスを特定することについては未解決点を残していた。この問題に関するVeselic-Weidmann予想について研究代表者は1991年に肯定的解答を与えStark効果の下での短距離力と長距離力との分類について明確な指針を与えた。次いでJensenとの共同研究においてこの量子力学的分類が古典力学的分類と対応しないことを証明しStark効果の下では形式的対応原理が破錠することを示した。Stark散乱の長距離理論は上記二つの仕事をもって始まった。White,Yajima,Jensen,Grafらによる各々独自の長距離理論が構築されそれに付随した変形波動作用素も次々に提案されたが対応原理の破錠を合理的に解消したものはGrafによるものであった。研究代表者はJensenとの共同研究においてGrafの変形波動作用素の存在の為の必要十分条件をポテンシャルの減衰度で特徴づけ対応原理の破錠に対する合理的説明を完全な形で行うことに成功した。
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