研究概要 |
エルミート行列係数の2次多項式のうちで,実軸上で半正定置かつ最高次の係数が正定置であるとなるものは「対称な」因数分解を許す.その「因数」を詳しく解析することのより,以下の結果を得た.3以外の結果については近々論文にまとめ欧文紙に投稿する予定である. 1.偏微分方程式への応用. (1)ベクトル値関数に対するPoincare型不等式の成立条件(必要条件,ある場合には必要十分条件)を明らかにした. (2)弾性体方程式に対する亜音速Rayleigh波の存在原理及びその存在個数を,行列多項式の因数分解の立場から明らかにした. (3)弾性体方程式に対する基本解(空間次元が2,3の場合)を上述の「因数」を用いて表現した. 2.上の行列2次多項式を平面上の行列係数双線型形式とみなしたとき,「因数」を用いて表現されるある種の行列は,平面の回転に関して不変となることがわかった.これは,1(3)を得るために本質的である. 3.行列2次多項式が(半)正定置でなくても,ある場合には,上述の対称な因数分解を許すことがわかった.これは圧電物質の方程式に応用可能である.どのような場合に対称な因数分解が許されるかをはっきりさせることは今後の課題である.
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