研究概要 |
超越整関数の力学系の研究において次の研究結果を得た。 定理1:整関数f(z)がf_n(Z)によってC上広義一様に近似されていて、f(z)のFatou集合F_fがattracting cycleのbasinだけからなる、または空集合のときf_n(Z)のJulia集合J_<fn>はf(z)のJulia集合J_fにHausdorff距離に関して収束する。 この結果はB.Krauskopfがf(z)=λe^z,f_n(z)=λ(1+z/n)^nという非常に特殊な場合でしかもパラメーターλがある条件を満たしている場合に示した結果の一般化になっている。またf(z)がこの定理の条件を満たすための十分条件として、f(z)がC.McMallenの意味でexpandingならば十分であることも示した。 定理:f(z),f_n(z)を上記のとおりとし、cをf(z)のsingular valueとする。このときある自然数Nがあり任意のn【greater than or equal】Nにたいしf_n(z)のsingular value c_nが存在し<lim>___<n→∞> c_n=cが成り立つ。 この結果の一つの応用として、S:={f(z)|f(z)のsingular valueは有限個}に属するf(z)についてf_n(z)がある条件を満たすときJ_f=C^^<^>であることがわかる(詳細は略)、という命題を示した。 以上の結果は下記のとおり「Nonlinearity」に掲載される予定である。 今後は同じ状況のもとでJ_fの位相的性質がf_n(z)の情報からどの程度わかるかを研究していきたいと思っている。
|