研究概要 |
A,Bを函数空間,gを函数とする。任意のAの要素fに対して各点ごとの積fgがBの要素となるときgをAからBへの各点的マルチプレイヤーと呼ぶ。研究実績は次の2つである。 1.各点的マルチプレイヤー理論のスベ-グ可積分空間からローレンツ空間への一般化 函数の定義域を測度空間Xとする。適当なp_1,p_2,p_3に対してはL^<p1>(X)からL^<p2>(X)への各点的マルチプレイヤーの空間がL^<p3>(X)となることが知られている。ローレンツ空間L^<p,q>はL^p空間を特別な場合として含む空間であり,完備な擬ノルム空間である。そこでまず,完備な擬ノルム空間について考察し,それを用いてローレンツ空間の各点的マルチプレイヤーの理論を構成した。これを明石高専研究紀要第37号(1995年1月)に発表した。 2.函数空間BMO_φ(X)における各点的マルチプレイヤー理論の構成 1961年にF.JohnとL.Nirenbergにより導入された有界平均振動函数の空間BMOは,有用な函数空間として認識が高まってきているもので,多くの人々によって研究され様々な性質が明らかにされてきた。BMO_φはBMOとリプシッツ空間とを統一的に取り扱う空間として考案されたものである。函数空間BMOを定義する場合には,函数の定義域としての測度空間には距離の概念を加えるのが自然であり,そのようなものとして1977年R.R.CoifmanとG.Weissが導入したhomoheneous型空間が知られている。Xがこのhomogeneous型空間で,特に有限測度の場合について,BMO_<φ1>(X)からBMO_<φ2>(X)への各点的マルチプレイヤーの理論を構成した。これは1995年の日本数学会の年回で発表予定である。 現在,Xが無限測度のhomogeneous型空間の場合を研究中で,これを合わせて論文作成予定である。
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