研究概要 |
1.自己双対Yang-Mills方程式の解によって定義される、普遍Grassmann多様体上のflowと、KP方程式系のflowがcompatibleであることを用いて、それらを混合することにより様々な非線形可積分発展方程式を構成した。特にKP方程式の低次のflowからは、種々の微分型非線形Schrodinger方程式系が構成され、そのソリトン解が、Toeplitz行列式表示とdouble Wronskian表示によって与えられることを示した。 2.自己双対Yang-Mills方程式の解空間上に、高次の時間発展を導入することが可能であることを見出し、新しい非線形可積分系を構成した。ソリトン理論における直接法を用いてその双線形形式を導出し、行列式を用いて解が与えられることを示した。 3.Toeplitz行列式解の構造を非対称型に変形することによって、新しい双線形方程式系を構成した。同様の解の構造が離散PainleveII,III方程式にも現れ、パラメタの値が特別な場合には、離散特殊函数を成分とする行列式や、一次元戸田格子型のHankel行列式で解が表されることを示した。 4.定常軸対称Einstein方程式の双線形構造を解析し、そのTomimatsu-Sato解のPfaffian構造と、Yang-Mills場の解の成すGrassmann多様体の構造との直接の対応関係を、代数的に調べた。 5.方程式の双線形構造に注目することによって、ここで用いた理論や手法が、一次元量子スピン系の相関函数の計算や、2N波相互作用系の可積分な離散化などの、様々な分野に応用が可能であることを示した。
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