• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1994 年度 実績報告書

大域的宇宙モデルの決定に及ぼす非一様物質分布の影響と重力レンズ効果

研究課題

研究課題/領域番号 06740194
研究機関弘前大学

研究代表者

葛西 真寿  弘前大学, 理学部, 助教授 (30204358)

キーワード相対論的宇宙論 / 非一様宇宙 / 重力レンズ / 観測的宇宙論
研究概要

観測的宇宙論の議論は、多くの場合一様等方な宇宙モデルに立脚しているが、現実の宇宙の物質分布は、超銀河団のスケールにいたるまで非線形・非一様である。
これまで我々は、重力レンズの統計的解析によって宇宙モデルを決定する研究を行ってきたが、レンズ物体による光の曲がり以外には、光の伝播に対する非一様物質分布の影響を十分に考慮していなかった。その理由の一つは、非線形・非一様物質分布を持つ現実的非一様宇宙を記述する有用な方法がなかったことにある。
そこで、今回はまずこのような非一様宇宙を記述する近似法を一般相対論に基づいて開発した。我々の方法は以下のような特徴を持つ。
1.密度ゆらぎが1より小さいという仮定に依存しない。
2.一様等方バックグラウンドからのずれが局所的に1次元的であるときには、厳密解を含む。
3.密度ゆらぎが1より十分小さいときには線形摂動論の結果を再現する。
これらはまさに、ニュートン宇宙論においてよく用いられるゼルドビッチ近似が持つ特徴に対応している。この意味で我々の方法は、「一般相対論的ゼルドビッチ近似」と言うことができる。(論文は現在投稿中。)
また、宇宙論的観測に及ぼす時空の非一様性の影響の重要性を明らかにするために、ルメートル・トールマンモデルという非一様宇宙モデルを使って光の伝播を調べた。その結果、近傍の銀河の観測から得られるハップル定数は必ずしも宇宙の大域的な膨脹率をあらわすとは限らないこと、従って近傍の観測で比較的大きい値のハップル定数が得られても、そのことは必ずしも宇宙年齢と矛盾するわけではないことが、新しい知見として得られた。このような非一様宇宙における重力レンズの統計的解析については現在計算中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Y.Kobayashi et al.: "Does a boson star rotate?" Physical Review D. 50. 7721-7724 (1994)

  • [文献書誌] 葛西真寿: "量子力学的干渉における一般相対論的効果" 日本物理学会誌. 49. 1005-1008 (1994)

URL: 

公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi