研究概要 |
この研究の目的は、高エネルギー実験物理学と計算機理論物理学の分野に対し必要とされる高速並列分散システムとはどのようなものなのかを明らかにしようとするものである。一般にデータ処理解析(計算)システムはデータ収集部、データ転送部、データ受信部及びデータ解析部に分離できる。特に並列分散システムでは、多くの処理装置が同時に離れた場所で動作するためにデータ受信法、及びデータ収集システムのコントロール方法が重要となる。高エネルギー実験におけるデータ処理システムでは分散データの高速収集が必要となってきている。この要求に対し現在は処理スピードの高速化で対応しようとしているがこの方法ではすぐに速度限界がくる。そこでこの研究では従来の方法をやめ、データ処理能力がシステムの大きさに比例する構成を考え製作評価する。我々はすでにデータ収集部に関し並列性及び分散性の高いモデルの製作を終了している。今年度はデータ転送部及び受信後のデータをどのように効率良くデータ解析部に移すかについて主に考察を行いそのコンポーネントの製作を行なった。それは、オッカム、トランスコンピュータ国際会議や論文誌(NIM,IEEE NS)などに発表された。そこでは高エネルギー実験物理学におけるデータ処理システムの例としてシリコン検出器をとりあげ、それに対する応用としての分散処理システムが述べられている。データを効率良く収集する方法の一例が述べられているが、一方計算機理論物理学の分野においては、データを効率良く収集する方法のみでなく、データを効率良く分配することが必要となる。この点に関しては我々はまだ結論をだすには至っていない。これは計算する対象によるため、我々は目標をどの計算分野に定めるかを調べている途中である。
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