1.軟x線領域で測定されたCeRh_3B_2のCe4d→Ce4f吸収スペクトルの磁気円二色性の実験結果を不純物アンダーソンモデルにより解析した。磁気円二色性の結果はCe4f電子の軌道角運動量がスピン角運動量よりも大きいことを示している。そこで以前測定した線二色性の結果(これはc軸方向の結晶場の存在を示していた)と合わせてこの電子状態を説明するために、2つの軌道混成効果をモデルに取り入れた。1つはRh4d-Ce4f混成で、これは近藤状態を作ろうとする。そのためにこの効果が大きければ系は磁気モーメントを持たなくなる。もう1つの混成はc軸方向に隣り合ったCe同士の4f-5d間に働くもので、この混成を通して系は強磁性的になろうとする。この2つの混成効果が競合しあって、系のキュリー点やその他の特性を与えると考えた。実験より求めたパラメータを用いると、このモデルによる計算結果は近藤温度や4f電子数をよく再現することがわかった。キュリー点は実験値よりも低く見積もられたが、これまで提唱されていたモデルよりも近い値であった。またこのモデルはCeやRhを他の元素に置換していったときの振る舞いも定性的に説明することができる。 以上のような実験と回析は今後近藤効果と結晶場、スピン軌道相互作用が結びついた混合原紙価状態を解明する有力な手段になると考えられる。 2.パルスマグネットを用いた強磁場の下で磁性半導体EuSeの可視域でのファラデー効果とルミネッセンスを測定した。ファラデー効果から波長によって2つの異なるヴェルデ定数が存在することがわかった。また磁場によるルミネッセンスの変化から、d-f交換相互作用定数を見積もった。
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