研究概要 |
本研究では、擬二次元伝導体における電荷密度波(CDW)の動的な振舞いを明らかにする事を目的として、本年度は、特に装置開発と単結晶試料育成条件の確立を行った。 1.申請のGP-IBコントローラーを用いて、磁場1.5Tまでの電流磁気効果(磁気抵抗、ホール効果等)の自動測定システムを作製し、16ビット分解能で磁場制御が出来る事を確認した。 2.試料に最高2,000mV/cmのパルス電場を印加する事の出来るクライオスタットを設計した。パルス回路にMOSFETを用いることにより、最高10μsのパルス電場の立上りが期待でき、さらに速いCDWの応答を捉える事が可能となる。このクライオスタットは現在製作中であり、上記自動測定システムに組み込む。 3.低次元伝導体として、三硫化チタン(TiS_3)の単結晶育成条件を確立した。原料粉末を化学量論比に混合し石英アンプルに真空封入した後、申請の電気炉を用いて500℃で50時間育成した。このとき、温度差の無い場合に比べて温度差を40℃(低温側480℃、高温側520℃)付けた場合の方が、結晶成長速度が数倍上昇する事が確認出来た。この事は、アンプル内部での輸送ガスの流れが、TiS_3の結晶育成速度に重要な役割を果たしている事を示している。 次年度以降はこれらの成果をもとに、パルス高電場を用いた低次元伝導体単結晶の電流磁気効果の測定を行い、擬二次元伝導体におけるCDWのダイナミックスを明らかにして行く。
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