本年度は、宇宙科学研究所所有のプラズマレールガンにて2回の高速衝突実験(1gのポリカ弾体を秒速7キロに加速)を行ったほか、バンデグラーフ加速器からのHe^+イオン照射実験、および阪大レーザー研の激光M2ガラスレーザー(パルス幅1ps、パルスエネルギー15J程度)による大出力グリーン光による衝突実験を行った。 まず、レールガンによる衝撃実験では、従来の直接照射に変わって鋼製のホルダー内に試料を封じて衝突を行う方式を採用し、加速弾体後ろのプラズマによる試料の変成を避けることができた。得られた試料をESRおよび陽電子消滅法により調べた。 次にイオン照射実験では、地中のα線の照射効果の研究に付随する形で宇宙空間におけるイオン衝撃の模擬実験も行った。ここでは、ガンマ線に対するヘリウムイオンの照射欠陥生成効率比を求めることができた。 また石英ガラスに関するレーザー衝撃実験では、レーザー光の焦点位置において形成されたクレーター内部に容易に、スティショバイトが形成されていることが判明した。 また関連する研究として、岡山大学地球内部研究センターで静水圧高圧合成法で製作したコ-サイト、スティショバイトに放射線照射後みられる欠陥について、特に液体窒素温度における特性をxバンドおよびQバンドESRで調べた。その結果、高圧相中の石英において、アルミ不純物に基づく欠陥のモデルを得た。
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