研究概要 |
トリスヒドロキシメチルフォスフィン(THP)で修飾したシリカ表面に固定化したRh_4(CO)_<12>,Ir_4(CO)_<12>(それぞれRh_4/THP/SiO_2及びIr_4/THP/SiO_2)はヒドロホルミル化に高活性であり、穏和な条件(300-350K,1気圧以下)でヒドロホルミル化反応が進行する。さらに選択率も極めて高く、98%以上の選択率でアルデヒドが生成する。EXASF,IRを用いたキャラクタリゼーションから、Rh_4及びIr_4クラスターは2つのTHPに配位されることによってその骨格構造を保持したまま固定化され、固定化することによってその構造に歪みが生ずることがわかった。Rh_4(CO)_<10>(THP)_2などの歪みを持たないクラスターとの活性の比較から、固定化によって生じたクラスター骨格の歪みが高活性、高選択性の原因であることが明らかになった。 Rh_4/THP/SiO_2及びIr_4/THP/SiO_2上の金属クラスターは酸化物表面に強く固定化され、有機溶剤に懸濁してもクラスターの溶出はみられなかった。Rh_4/THP/SiO_2は固液相のヒドロホルミル化にも活性を示し、スチレン、シクロヘキセン、などのヒドロホルミル化が370K以下で進行し、選択性良くアルデヒドが生成した。Rh_4/THP/SiO_2をBINAP,DIOPなどの不斉配位子で修飾し、スチレンのヒドロホルミル化反応を行ったところ、若干(3-7%ee)の光学選択性がみとめられた。
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