下図に示す構造の液晶(n=1、2、3、4、5、6)を合成し、その液晶特性を検討した。 示差走査熱量分析装置により、全ての化合物が液晶相を発現することが確かめられ、相転移温度および転移のエンタルピー変化の測定をおこなった。また、液晶を測定セルにはさみ込み誘電率の測定をおこない、全ての液晶において反強誘電性液晶に特徴的な誘電率変化を観測した。また、液晶セルに種々の電場を印加して、液晶の電気光学的な効果を観察することにより、全ての液晶化合物において反強誘電性液晶に特徴的な現象が観察された。すなわち、三角波を印加したときの2本の分極反転ピークと、透過光量の二重ヒステリシス変化が観察された。また、ホメオトロピック配向した液晶のシュリーレン組織を詳細に観察することにより、反強誘電性液晶に特徴的に発現するディスピレションを見出すことができた。液晶の混和試験では、既知のトリフルオロメチル不斉骨格をもつ反強誘電性液晶とScA^*相で混和することが確かめられた。以上の結果から、今回合成した全ての液晶化合物は反強誘電性を示すScA^*相を持っていることを確認できた。
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