1.パンコムギはゲノムサイズが大きいので、まず、ゲノムから特定箇所の配列をPCRによって確実に増幅させる条件を検討した。貯蔵蛋白質グルテニン遺伝子を参考にプライマーを合成し、種々の条件でPCRを行った。その結果、A、BおよびDゲノムの即知の遺伝子部位を増幅する条件を設定することができた。この条件で、以下の研究を進めた。 2.コムギおよびトマトのrDNAの塩基配列に基づいて、この遺伝子の平均450bpにひとつのプライマーを両方向に合成した。まず、rDNAプライマー単独でPCRを行ったが、3プライマーで増幅がみられ、特例領域に逆位をもつrDNA配列がゲノム内に存在することが分かった。 3.細胞学的にrDNA領域で切断が起こっていると思われる8種類の欠失系統のゲノムDNAを鋳型としテロメアおよび10種のrDNAプライマーの組で、PCRを行ったところ、7組合せにおいて、欠失のない正常系統では出現しないDNA断片の増幅が見られた。このうち、増幅な顕著な2断片を、プラスミドベクターにクローン化した。 5.現在、この塩基配列を決定し、切断点のDNA配列の構造を調べているところである。
|