本研究は、軟体動物アメフラシの中枢神経系においてクローニングされたK^+チャネル(AK01a)を用いて、プロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤によるK^+チャネル機能の修飾を分子レベルで明かにすることを目的として行った。アフリカツメガエル卵母細胞をチャネルの発現系として用いることで、PKC活性化剤によるAK01aの機能修飾が、AK01a自体の燐酸化によるのか、細胞内に存在する他のチャネル機能を調節するような蛋白の燐酸化によって間接的にもたらされているのかを明かにする事を大きな目標として研究を実施し、以下のような成果を得た。AK01a及び分子生物学的手法で作成したAK01aの燐酸化変異体を用いて、in vitroでcRNAを合成し、cRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入・培養することでチャネルを発現させた。チャネル発現の検定、発現したチャネルの基本的な性質、及びPKC活性化剤による修飾の解析を、二本の微小電極を使用する膜電位固定法で解析した。その結果、AK01aの一次構造上で、PKC活性化剤による機能修飾において重要となる領域やアミノ酸をある程度明らかにすることが出来た。その成果の一部は、日本動物学会が発行している国際誌であるZoological Scienceに投稿し、現在印刷中である。その成果をふまえて、より詳細な分子機構の解明を進めるために、卵母細胞におけるパッチクランプ法を用いた機能解析を現在行っており、まだ発表できる段階ではないが興味深い成果が得られている。
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