本申請課題では、プラズマCVD薄膜成長中の表面を光の反射を用いて評価し、その反応過程を制御する新手法の開発を目的とした。a-Si:H膜の成長過程を、レーザ光の反射強度を時間分解で解析し、表面反応のリアルタイムの評価方法を確立した。 プラズマCVD装置にHe-Neレーザからの白色光を導入し、成長膜表面からの反射光の強度リアルタイムで収集した。入射光の一部はハーフミラーで参照信号としてモニターし信号の規格化を行った。主な成果は以下の通りである。 1.緩和過程における反射強度変化の解析 成膜を中断した直後に、反射強度が約数十秒に渡って反射光強度が変化した。この変化を、多重散乱モデルでコンピュータ解析した。表面の1nm程度の領域で、密度が小さい表面反応層が緩和して、より密度の高い層に変化していることで説明できた。この解析から、表面反応層での水素の脱離過程とSi-Siの結合の生成過程を検出していると結論した。 2.超音波励起効果の評価 プラズマCVDによるアモルファスシリコンの作製時に、圧電素子により2MHzの超音波振動を基板に印加し、薄膜の光電特性の向上に成功した。この成膜プロセスのその場光反射診断を行った。超音波励起により、より密度の高い良質な薄膜が形成されていることを明らかにした。
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