光による光の制御は高速化の可能性や多重並列処理の容易さから、光通信や光情報処理への適用が注目され、フォトニックスイッチ素子への要求が高まっている。本研究は生体膜バクテリオロドプシン(bR)のフォトクロミズム利用して回折型平板レンズのホログラムを書き込み、集光機能をもった光制御型スイッチ素子として提案、試作した。その結果以下の知見を得た。 1.Arイオンレーザを用いた2光束干渉法で、一方に凸レンズを挿入すると平面波と球面波が干渉して、bR薄膜上に同心円状のゾーンプレートのホログラムが記録される。これは回折型平板レンズとして機能するので読みだし光(信号光)を集光する。He-Neレーザを用いて集光機能を確認し、スポット形状、スポットサイズ、回折効率から最適記録条件を見いだした。 2.ゾーンプレートは実時間で書き込まれるので、on/offまたは、バクテリオロドプシンの偏光認識性を利用した偏光変化で書き込み光を制御できる。これによって信号光のスイッチング動作が確認できた。 ゾーンプレートの回折機能によって、波長の異なる入力光は波長ごとに別の場所に集光する。30μm薄膜の薄い試料を用いて、読みだし光の入射角度がブラッグ角度から±3°の許容範囲をもつことを確認した。これを利用すれば、入力進号が波長分割でき、一素子で集光、波長分割機能をもつスイッチ素子実現の可能性が高いことが分かった
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