差動検出形の光学干渉計による位相差検出の量子限界を実験的に明らかにすることを目的として、以下の通り研究を行なった。 1.差動検出形の光学干渉計の量子雑音測定 除振した光学定盤の上に、非常に安定な偏光分離型のMach-Zehnder干渉計を組み、λ/4板によるπ/2の位相差バイアスとKDP電気光学変調器による微小な位相差を与えられる様にした。 波長680nm、出力10mWの半導体レーザーを光源として、上記干渉計の2出力を各々pinフォトダイオードで受光して、広帯域の180度ハイブリッドによって差動合成し、利得30dB雑音指数3dBの広帯域増幅器を経て内部雑音-145dBm/Hzのスペクトラムアナライザで測定した。 その結果、5.8mW出力時に全光電流2.2mAから期待される雑音レベル-164.5dBm/Hzよりも2〜4dB大きな雑音を50〜350MHzで観測した。この差は光源の過剰雑音が僅かな不平衡を通して洩れたものと同定された。 今後は、平衡度の改善と光源の半導体レーザーへの負帰還によって、この干渉計を量子限界で動作させるところまで精密化し、KDP電気光学変調器に高周波を印加して、微小位相差検出の量子限界を調べる予定である。 2.光子の再利用による変動検出形干渉計の位相検出感度改善 差動検出形の干渉計として初めて、光子を再利用して位相検出感度を従来の標準量子限界よりも高める多段干渉計を考案した。
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