研究概要 |
1.超音波領域での楕円振動工具の開発 楕円振動切削加工法において高速度で切削を行うため、共振周波数約20kHzにおいて50m/min程度の最大振動速度を得ることのできる振動子を開発した.本装置では,二枚の圧電素子によって直交する二方向の振動を励起し,印加電圧の振幅と位相差を変えることで任意の楕円振動軌跡を得ることができる. 2.超音波楕円振動切削加工の基本的効果 開発した超音波楕円振動工具を用いて無酸素銅の切削を行い,以下の効果を明らかにした. 1.切りくず厚さの減少 普通切削では,切込み量5μmの時に切りくず厚さが約20μmであったのに対し,工具に楕円振動を与えることによって約4μmまで減少した.すなわち楕円振動切削加工法では、従来の手法では考えられないほど優れた潤滑効果を見かけ上得ることができる. 2.切削力の減少 楕円振動を付加することで,切削力を普通切削に比べて40分の1以下,従来の振動切削に比べても一桁程度減少することができる。 3.最適楕円振動切削条件の検討 以下の主な楕円振動切削条件を変化させて切削実験を行い、最適楕円振動条件を検討した. 1.工具振動周波数 高い程,切りくずが薄く,仕上げ面も良い。 2.切込み方向振幅/切削方向振幅 大きい程、切りくずが薄くなるが,仕上げ面あらさが大きくなる。 3.二方向振動の位相差 90から130度程度で切りくず厚さが最も小さくなるが,仕上げ面あらさについては90度程度が最も小さくて良い. 以上より,切りくず厚さと仕上げ面あらさをともに小さくするには,振動の軌跡を円とし,周波数をできる限り高くすることが最適であると言える.
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