本研究では、地球温暖化を予測するための3次元モデルの構築を行い、TSM(Time-Space method)を用いて計算を行った。その結果同じ演算性能のコンピュタ-を用いた場合、タイムマーチング法で数値解析を行うのに比べ1/87〜1/350程度の計算時間でしかも安定に解くことが可能となった。また、これまでの大気大規模循環の空間の鉛直方向速度は、静力学平衡式が成り立つことから診断方程式で診断量として求められてきたが、3次元非定常問題を4次元の定常問題として解くTSMの利点を生かして簡単な力学モデルを作成し、不完全ではあるが現実の大気に近い結果が得られたと考えている。本解析で得られた二酸化炭素濃度が倍増したときの気温上昇量は平均で2.4℃となり、極地方の昇温が大きいなどこれまでの他の研究機関で得られた結果と定性的に等しい。 しかしTSMは計算のタイムステップを大きくとることにより計算時間の短縮を図っているが、大気ではTSMのタイムステップよりもかなり小さい時間で起こる現象も多くこれらが正確にモデル上に反映されているとは考えにくい。またTSMは4次元問題を解くことから現在のコンピュータとくにワークステーションレベルでの計算においてはメモリーが十分にとることが出来ず必然的に空間の格子数を減少せざるを得ない。このことから、より正確で、TSMとのマッチングの良いモデルが必要である。
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